毅の食い倒れ 第13回

食い倒れ in ギリシャ

 

 現代ギリシャ語で、大衆食堂または居酒屋のことを「タベルナ」という。そんなことを言われても、やはり食堂に入ったら食べたくなるのが人情である。いや人情というか、人間として当たり前である。ということで、この国でもしっかり食べてきた。

 

 さて、ギリシャ料理の特徴としてはオリーブを多用し、野菜はズッキーニ、トマト、ナスが多く、魚介類、肉類をよく食べる。ギリシャ料理の代表はナスのムサカ。ヒツジや牛のひき肉とタマネギをいためてトマトソースで煮こみ、うすく切って油で焼いたナスを交互に重ね、ホワイトソースをかけてオーブンで焼いた料理をいう。魚介類は、やはり地中海に囲まれた国だけあって豊富にあり、焼いたりスープにしたりして食べられる。

 

 一見まともそうなギリシャ料理、しかし毅がアテネの市場でギョッとしたものがある。同行していたヒデさんは、その哀れさにそれらをまともに見ることができず足早にそのモノが売られている場所を立ち去った。それは、何か!?・・・羊の頭である。これが、またちょっとグロテスクというか恐怖映画にでも出てきそう。皮を引ん剥かれて、でも目だけはちゃんと残っているのでかなり目をむいて、顔を真っ赤にして悔しがっているように見える。しかも、舌が口の横から覗いているものもありそれがまた哀愁を帯びている。こういうグロいものに弱い人は多いと思うので、このページには写真を載せることは控えるが、どうしても見てみたいという人は毅に個人的に見せてもらってほしい。それにしても、彼らギリシャ人はどういう思いでこの頭を買うのだろうか。ちなみに、この頭はただオーブンで丸焼きにして食べるらしい。確かに、日本人もマグロの頭を丸ごと煮込んで、やれ目が美味だ、やれ頬肉が旨いなどといっているので他の国の人からみると、ちょっと不気味な存在だろう。おそらく、ギリシャ人も同じような感覚で羊の頭を買い求めるのだろう。

 

 ところで、今回紹介するのは「スブラキ」というギリシャ風焼き鳥である。焼き鳥といっても、牛肉、羊肉、魚なども焼く。このスブラキ、ただ肉を串に刺して炭火で焼くだけなのだがそういう単純な料理がいかにもギリシャ料理っぽくてよかった。ギリシャという国、古代は味よりも空腹を満たすことに重点が置かれていたらしい。土地がやせていて、ブドウやオリーブ以外はあまり何も育たなかったというのである。今でこそ、少し手の込んだ物も見受けられるが、やはりギリシャ料理には素朴な感じの料理が多い。

 

 

これが、そのスブラキである。何の変哲もないこの料理、乾燥パセリと塩をかけてビールを片手に立ちながら食べるのがいいだろう。あまり、かしこまった大袈裟な料理ではない。夕方になると、このスブラキを焼く店に人だかりができる。会社帰りのサラリーマン風のギリシャ人や、OLの姿も多く見られる。会社帰りに同僚とちょっと寄って上司の悪口でも言いながら、焼き鳥をつまみにビールをひっかけている、というありがちな光景である。

 

 今年は、アテネでオリンピックのある年。野球場の応援席のオジサンではないが、日本人としては現地のスタジアムで、このスブラキとビールで日本の応援といきたいところである。がんばれ、日本!!